29th
ライヴハウスでの節電について
大震災のあと、「節電ライヴ」をするアーティストさんや企画屋さんに何人か出会いました。
確かに、適切な形でライヴハウスの設備の電源を切ることが出来れば、それなりの節電になると思います。
しかし、現場で見ていて、彼らの気持ちが空回りしてしまう可能性もあるな、とも思っていました。
そのあたりの事について詳しい解説を書こうと思ったのですが、実際には、ライヴハウスごとに異なる諸々の事情があるので、包括的な解説を書くことは難しいと感じました。
おおむねキャパ100人程度のハコの話に限り、ここではポイントになりそうな点を箇条書きにしておきます。
また、PAシステム(音響設備)に関することに限ってあります。
ここに書かれたことがすべてではなく、また、例外も沢山あると思いますが、御参考にしていただければ幸いです。
参考意見、御質問、転載等、歓迎いたします。
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* PAから音が出ていなくても、PAシステムの電源を切っていなければ節電にはならない。
基本的なことですが、「生音で演奏する」ことと「PAシステムの電源を切る」ことは別のことです。
言い換えると、生音で演奏することの目的が「節電」であること、つまり、演奏中はPAシステムの電源を切ってほしいということを、PAの担当者に伝える必要性があります。
そして、「PAシステムの電源を切る」事が、単純ではない場合もあります。
この事は、以下に詳しく書きます。
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* 楽器はすべて生音でボーカルのみPAを使う、というような場合、あまり節電にはならない。
PAから出る音がバンド全体の音であっても、ボーカルのみであっても、使用するPAシステムはほとんど変わりません。
例えば、キャパ100人程度のハコでグランド・ピアノの弾き語りを行う場合、多少小さめではあってもピアノの音は問題ない範囲で客席全体に聞こえると思います。
しかし、ボーカルはピアノに負けて聞き取りづらくなることが多いと思います。
ここで、ボーカルを聞かせるためにPAを使用した場合、PAシステムの電源はほとんど通常と同じ状態でオンされてしまう、と言うことを覚えておいて下さい。
「節電」を優先するのであれば、生のボーカルの音量に合わせて、ピアノのフタを完全に閉める、あるいは弱音ペダルを使う、という手もあります。
もちろん音質は変わりますが、音量バランスはとれる可能性があります。
演奏中に空調も切ることが出来れば、雑音もなくなり、一石二鳥です。
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* 出演者が何組かいるとき、それぞれのステージごとにPAシステムの電源をオンしたり、オフしたりするのは手間のかかる場合がある。
PAシステムは多数の機材で構成されています。
ミキサー卓、イコライザー、チャンネル・ディバイダー、アンプ、エフェクターなどです。
それらの機材の総数は(キャパ100人程度のハコで)10~30くらいはあるのが普通だと思います。
ACディストリビューターのスイッチで一括オン・オフしているハコもあるかと思いますが、一つ一つの機材のスイッチをオン・オフしているところもあります。
そして、ほとんどの場合、これらの機材の電源スイッチはオン・オフする順序を厳密に決められています。
また、諸々の事情により、アンプはミキサー卓の近くにはなく、ステージ側にあることが多いです。
場合によっては別室にある場合もあります。
都内のあるライヴハウスでは、ステージ裏控え室用通路の天井近くに置かれていました。
つまり、これらの機材の電源を決められた順序に従ってオン・オフする時、場合によっては、PAエンジニアはあちこちに移動しなければならなくなるのです。
したがって、そのような作業が、PAエンジニアにとって過剰な負担にならないかどうか、確認しておく必要性があります。
余談ですが、少しマニアックな事を言えば、電源投入後10~20分程度、機材が暖まってくるまでの時間は少しだけクセのある音質になることがあります。
神経質な人でなければ気にならない範囲であるとは思いますが、念のため。
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* 客入れ、客出しなどのBGMを、PAシステムを使わずに、使用電力量の少ないミニコンポ、CDラジカセなどを代用して流す事が出来る。
店によっては、ライヴ用のPAシステムとは別に、ミニコンポやラジカセなどを常備している場合があります。
ただし、前項と同じ理由によって、セッティング(転換)中のみPAシステムの電源を切る事は、難しい場合もあります。
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総じて言えることは、ライヴハウス側のスタッフとよく話し合っておく必要性があるということです。
心あるスタッフさんであれば、既に出来る限りの心遣いをされているはずです。
ライヴは共同作業であるということを御理解いただければ幸いです。